- 脂肪細胞から分泌される物質の一種であるアディポネクチンは、血管平滑筋細胞の増殖抑制作用、血管内皮細胞と単球の接着阻害作用、マクロファージの貪食能の低下作用などにより動脈硬化を抑制することが知られている
- (Circulaton. 2000;102:1296-1301, Circulation. 2001;103:1057-1063, Blood. 2000;96:1723-1732)糖尿病患者や冠動脈疾患患者において、血中アディポネクチン濃度が低下していることが明らかになり、肥満者や内臓脂肪蓄積者でアディポネクチンが低下することが糖尿病および動脈硬化性疾患の発症基盤となっている可能性が示唆されている。アディポネクチンは、脂肪細胞のインスリン感受性を高め、さらに脂肪燃焼を促進する作用を有している。現製品は、ビール酵母、米胚芽、黒ウコンを原料とし、それぞれからエルゴステロール、γオリザノール、αピネン・βピネンを抽出し、配合を加える事で、特許を取得し成分として発表、そのデータを作成した。これにより、アディポネクチンの分泌を促進する物質としてその精度を計った。またこれらは、全て植物成分として成り立っているので、身体への副作用を伴わないものとして期待出来る。
- 本研究で、その植物成分より得られたアディポネクチン分泌促進物質は、肥満予防を初めとした抗動脈硬化剤、抗糖尿病剤などの生活習慣病予防に役立つと考えられる。また、本物質は、植物成分であるため安全性が高いものである。
【試験1】
- 3T3-L1細胞を用いて、90種の植物抽出成分について、脂肪蓄積量とアディポネクチン分泌量との関係を検索した。
試験結果
図の○で示すように、脂肪蓄積量(オイルレッドO染色)とアディポネクチン分泌量に正の相関が認められた。しかし、■で示すように、脂肪蓄積量が陽性対照区と同等もしくはそれ以下であるにもかかわらず、アディポネクチン分泌量が陽性対照区よりも比較的多い成分が9種認められた。
【試験2】
- 糖尿病疾患モデルマウス(db/dbマウス)を用いて、試験1より得られた成分を含む餌食におけるアディポネクチン分泌促進試験を実施した。
試験結果
血漿中アディポネクチン濃度は、通常食に比べて、エルゴステロール食では約2倍高くなった。血糖値も通常食に比べて約22%低くなった。
【試験3】
- 糖尿病疾患モデルマウス(db/dbマウス)を用いて、試験1より得られた成分を含む食品におけるアディポネクチン分泌促進試験を実施した。
試験結果
白色内臓脂肪組織中のmRNA発現を調べた結果、ビール酵母+γ-オリザノール混合投与群において、アディポネクチン増加傾向が見られた。また、TNF-αに関しては、糖尿病治療薬ピオグリタゾン同様有意に減少が見られた。
【試験4】
- 糖尿病疾患モデルマウス(db/dbマウス)を用いた餌食による肝臓の変化
- 8週齢db/dbマウスに対し、A郡には通常の餌を、B郡には1.0%エルゴステロール含有食を与え、20日後の肝臓の変化を確認した。
試験結果
通常の餌を与えたモデルマウスの肝臓と比較すると、エルゴステロール含有食を与えたモデルマウスの肝臓は、赤みがかかった健康なものになった。