痛風とは
- 高尿酸血症を原因とした急性関節炎や腎障害(痛風腎)、痛風結節の総称で、急性関節炎を痛風発作
- 高尿酸血症は他の動脈硬化の危険因子と合併しやすい
- 高尿酸血症が生じる理由
- 排泄能力が弱いため
- 細胞の新陳代謝が活発で尿酸の産生が活発な酸性過剰型 (日本人が発生している全体における割合 15%)
- 腎臓からの尿酸排泄能力が弱い排泄低下型 (日本人が発生している全体における割合 60%)
- 両者の混合型 (日本人が発生している全体における割合 25%)
- 尿酸の排泄能力
- 先天的な要因 & 後天的に低下させる要因
- 後天的な要因
- 腎機能低下、肥満、果糖の過剰摂取、アルコール
- 肥満度と尿酸値は正相関し、原因として肥満者では過食によるプリン体(尿酸の素となる物質)の摂取自体が多いことに加え、肥満のためインスリン抵抗性が惹起され高インスリン血症となっており、インスリンが腎臓での尿酸の排泄を抑制するように働きかけるため
- 尿酸値が上昇する要因
- 代謝過程で尿酸産生を高めたり、腎臓からの尿酸排泄を低下させたりすることにより、尿酸値を上昇
- アルコールは尿酸値を上昇させる最たるもので、その成因として、
- 代謝過程での尿酸産生の増加
- 代謝過程で乳酸が産生され、乳酸が腎臓での尿酸排泄を抑制する
- アルコール飲料自体にプリン体が含まれている
痛風とアディポネクチンの関係
- 痛風の原因の一つは肥満(特に内臓脂肪型肥満)
- アディポネクチンは肥満と関係がある
- それ故、痛風のもとをたどれば、アディポネクチンを増やせば、肥満が原因で痛風になった患者には効果があると考えられる
- アディポネクチンは脂肪細胞から分泌。しかし、どんな脂肪細胞からもアディポネクチンが安定して分泌されているわけではない。脂肪細胞が特に肥大化した状態になると、アディポネクチンの分泌量は少なくなる。そうなるとインスリン感受性が低くなってしまいます。肥満の状態になると、メタボリック・シンドロームや生活習慣病のリスクが高まる。即ち、アディポネクチンの分泌量の減少も、肥満のこうしたリスクを形成する要因の一つ
- 肥満を解消するための一つとしてアディポネクチンの働きがある。アディポネクチンの脂肪を燃焼させる作用が肥満解消にも効果あり
- 血中のアディポネクチン量を一定に保つためには、食生活に気を付けることと、適度な運動をすること。運動そのものにも肥満を解消する効果がありますが、運動によってアディポネクチンの分泌量も増えるので、肥満解消という点では「相乗効果」となる
高尿酸血症は他の動脈硬化の危険因子と合併しやすい
アディポネクチンと動脈硬化とは関係あり
- 「低HDL血症の病態と治療」で、大阪大循環器内科の松浦文彦氏は「アディポネクチンには、HDLコレステロールの血中濃度を上げる作用があり、抗動脈硬化作用を持つと考えられる」という研究結果を発表
- アディポネクチンは、糖尿病、高脂血症、高血圧などの危険因子との関与がある。また、冠動脈疾患を持つ患者ではアディポネクチンの血中濃度が低く、HDLコレステロールとアディポネクチンの血中濃度には正の相関があることが分かっているが、アディポネクチンが血中HDLコレステロール濃度を上げるメカニズムは未解明だった。松浦氏らは、肝細胞および末梢泡沫化細胞としてマクロファージの培養液を用いて、アディポネクチン添加によるABCA1やSR-BIなどのHDL増加に関わる蛋白の発現などを調べた。その結果、肝細胞ではABCA1、apoA-1のHDLの新生に関与する因子が増加していた。一方、マクロファージではABCA1の著明な増加とSR-BIの増加傾向が見られた。
- つまり、松浦氏は「アディポネクチンは肝臓でのHDL新生と末梢泡沫化細胞でのcholesterol efflux(コレステロール引き抜き作用)促進に関与しており、このことが抗動脈硬化作用につながると考えられる。しかしながら、HDLコレステロールの産生には様々な因子が関与しているため、「今後も他の因子とアディポネクチンの関連を調べる必要がある」と述べている。
結論
- アディポネクチンと痛風は直接関係ないが、アディポネクチンを増やすことは痛風を予防する上で一つの対策と考えられる